ガンの遺伝子診断
DNA検査とRNA検査の違い
近年、DNAを使った遺伝子検査についての露出は大企業の参入によりCMなどでも広がってまいりました。
ここで、DNA検査とRNA検査の違いを説明しておく必要があります。
DNA検査ではその人が生まれながらにして持っている遺伝的形質、つまり体質やある程度の相対的なリスクしか分からず、現在の健康状態に関する情報は得られません。
リスクについては傾向しか見られないため、医師が扱うというものというよりも、健常者が医師を介さず気軽に行う占いレベルのものになっているのが実情です。また、遺伝的な情報を解析するためにその内容によっていは不治の遺伝病が分かることもあり、倫理的な問題に慎重になる必要があります。
一方、RNAを用いた検査では、現在どのような遺伝子産物を作ろうとしているかを反映した検査であり、臨床検査と同様に、結果は現在の体調を反映するものとなります。
RNA検査は微量のサンプルで検査が可能であり、容易にビッグデータによる解析システムを構築する事ができます。
RNAは特に現場の医師からの多くの支持を集めており、ガンの予防医療の効果的な検査手法として大いに注目されています。ガンを中心とした病気の何歩手前にいるかを予測、そして療法に関する効果の有無の確認もできるRNA検査のニーズが大変高まったきております。
唾液を使った検査
この検査はガンを見つける検査ではなく、特定のガンにかかっているかどうかのリスクを調べる検査です。唾液に含まれるアミノ酸や糖の成分を解析し、肺がん・大腸がん・すい臓がん・乳がん・喉頭がんの5つのガンのリスクを具体的な数値で表すことが出来ます。
微生物を使った尿検査
ガンの診断で、画期的な研究結果を某大学などのチームが発表しました。それは「線虫」「C.elegans」という長さ1mmほどの微生物を使った尿検査でありガンの有無を95%以上の確率で発見できるというものです。
しかもその検査にかかる費用は、数百円という低価格です。また検査期間も、これまで数週間かかっていたものが、90分ほどという早さで結果が出る予定です。
また、検査に必要なのは尿だけで検査の施設まで行かなくても実施することができます。
検査に苦痛を伴わないというのは、これまで検査が負担になっていた人たちにとっては大きな追い風になります。
現段階では全ての種類のがんを検出できる反面、がんの種類を特定できていない状況です。
ですが、すでに特定のガンにだけ「反応することができない」線虫の作製には成功しており、研究が進めばより精度が高くなっていくと思われます。某大学では一般企業と共同開発を進め、2020年頃の実用化を目指しています。